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文化は国境を越えて

レッスン予約が無かった先週の土曜日に、紛争下の被災文化遺産と博物館の保護をテーマにしたシンポジウムを聴講しました。

主にスーダンの事例報告です。スーダンではこの数年、政府軍と民兵組織RSFとの内戦により、大変困難な状況が続いています。
(英語ですが、BBCの記事や、TIMEPの記事リンクを張ります)。

内戦といってもこの民兵組織は大衆の支持を得ている組織ではなく、現存する国家のアイデンティティを破壊するために何でもする組織であるという説明もありました。こうした事情から、これらの組織は特に教育機関・マスメディア機関・文化関連機関を破壊の標的にしています。

戦争は社会や経済、人々の生活基盤を破壊します。そして文化的基盤も同様です。スーダンでは貴重な文化遺産が甚大な被害を受けています。
スーダンの文化遺産に関する専門家の皆様は内戦下で国内外に避難を余儀なくされながらも、現在現況調査、失われたデータベースの再構築、これ以上文化遺産を損なわないための国際的な働きかけに尽力されています。

先日のパレスチナにしても、スーダンにしても、私の専門とするエジプトの話ではありません。
しかしこれらの国々は、エジプトと国境を接しています。
隣国で何かあれば、エジプトの政治や生活文化にも影響が出ます(たとえば隣国から難民が多数訪れて生活するなど)。特にエジプトのある中東は政治的に不安定が多く、スーダンやシリアなどからも難民が多く逃れて住みます。今回のスーダンでも、戦争から避難した専門家たちがカイロに仮本部を立ち上げて文化遺産保存活動を継続したとの経緯があります。

国境自体は、付近の現地住民は関与せずに、政治的会議や条約などで決まってしまいます。しかし、国境を越えたから文化が一気に変わるわけではありません。地形の変化などとともに文化は少しずつ変わりますから、国境のような直線の区切りでパパッと別物です、とは言えないのです。そして文化もまた、国境を越えてもなお共通点があります。

だから、エジプト民族舞踊を学ぶ際に、時間的な制約はありますけれども、できるだけ近隣の文化や踊り(特に陸で国境を接しているパレスチナ、スーダン、リビア。イスラエル、地中海、紅海)にも目を向けたいと考えています。

そして、スーダンやパレスチナなど隣国の戦争、内戦状況が一日も早くおさまって、人々の生活に少しでも安寧が訪れ、そして歴史ある文化が保持されるように心から願っております。

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