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【エジプト渡航2024 その⑧エジプトと交通事故】

よく知人に「エジプトってテロ大丈夫なの?」と聞かれます。
現在は基本的に大丈夫です。もちろん慎重な行動が必要ですが、カイロやルクソール等主要都市では、警察や軍がかなり警備しています。地方都市等では外国人観光客グループを複数名の警官(または兵士)が警護していました(私は一人+エジプト人と一緒なので、警備されず。主にご一緒したAhmed先生の人相のせいか(笑)県境での検問さえスルー…。国籍くらい聞いておくれ~(笑))。

一方でテロより数百倍気を付けないといけないものがあります。
それは、交通事故。
エジプトは日本の数百倍交通ルール無法地帯(苦笑)です。
初渡航時(9年前)のカイロ中心部車通行の無茶苦茶ぶり…最も印象に残っています。

そして、日本人やエジプト人の友人が交通事故に巻き込まれるケースも複数起きています。
私も今まで具体的な事柄の記載は差し控えていましたが、事故に遭ったご本人が先月、インスタグラムで初めて事故に言及されました。そのこともあり、少し書き残しておきたいと思います。

今から約7年前の2017年秋、ダンスお友達Aちゃんが突如交通事故に巻き込まれました。
彼女とはさほど親しくは無く2年位会っていなかったのですが、エジプトで修行中と聞き、せっかくだからエジプトで11月半ばくらいに会おうか~とメッセージをやりとりしていました。
11月15日未明(現地時間0時半位)、当時エジプトで活動中の日本人プロダンサーAlmazさんのFacebook投稿で、彼女が事故に遭ったことを知りました。意識不明の重体と、投稿には書いてありました。
私は頭の中が真っ白になり、エジプト滞在中or滞在経験有のダンサーさん数名に助言を求めましたが、無のつぶて。どうすれば良いのかと頭がぐるぐる。在エジプト日本大使館は朝の8時半にならないと開かないので電話応対も出ない。彼女はナイルグループのコンペに向かう途中で事故にあったので、ナイルグループに来ている日本人の誰かが付き添ってくれるだろうと思いつつも心配でした。
メールなら朝一で電話繋がらなくても読んでくれるかもと思い、在日本大使館領事部に朝7時半メールを送信。「彼女の具合と入院先を教えて欲しい。私も人手が必要なら病院に向かう、朝電話します」と記載して、朝7時には生活小物(タオル、下着、ナプキン、洗面器、その他自分が持っているもの)をできる範囲で大き目エコバッグに詰め込み、8時に出かける支度を完了。
8時15分に日本大使館に電話を掛けたところ電話に出てくれました。
海老原領事(当時)とのやりとりで入院先を確認したところ、同じカイロ大医学部の敷地内に4つ病院があり、おそらくその1つの〇〇だと思うが確証が取れないと。誰も日本人がついていないので、行っていただけたらとの事でした(その他詳細は省略)。
不幸中の幸いで、入院先は私の滞在先ザマレクから車で30分程度のほど近いところでしたが、そこからが色々とカオスの連続でした。

・タクシーが止まった病院に聞くも、だれも英語判らず。英語の表示無し。「この病院日本人いる?私友達の日本人が今朝からいるのよ」と、旅の指差し会話帳を指さしながら叫ぶこと20分。「日本人いないよ」と言われ、隣の病院(らしきもの)に移動。ここも英語表記は無く、床に座り込む現地の方々(診察待ち)をかき分けて、英語話せる人いない?私の友達の日本人は?と叫びつつ院内をウロウロまた20-30分。不審者扱いされるも、私が背の低い日本人女性だったので甘く見てもらえたのか、奥の事務所?に連れてゆかれ、そこに片言の英語を話すおば様発見。そこでようやくその病院にAちゃんがいると判明したのでした。

・病院到着から1時間後にようやくAちゃんの病室に到着。半泣きの私にDr(簡単な英語判る)が「彼女はストロングだから、大丈夫だから、貴方が泣いちゃだめ」と。私が「わかりました」と答えたところで、「OK。じゃ、薬買ってきてね。」「薬??!!??」「アシスタントがヘルプするから」。…そして私はAちゃんを残して、病院の広い構内を出てしばらく歩いた薬局へ。ケニアからカイロ大看護部に留学しているという学生助手の女の子が一緒に行ってくれました。まあまあのお値段の薬5種類くらいを買って(お金多めに持っていて良かった、ホント)40分後位に病室に戻り、Drに「買ってきました」と言ったら「OK,君しばらくいるんだよね。目薬は君が彼女にさしておいて。」「?!?」。
…後からわかったのは、Aちゃんのパスポートが無かったので(事故の際に誰かがカバンごと持ち去ったらしい)、身元が分からないと保険加入有無もわからないし基本的に治療はしない方針らしい(驚)。最低限の緊急手術はしてくれたのでそこは病院に感謝しています(Aちゃんのお師匠さん治療を強く言って下さり有難うございました。お師匠さんもケガされましたがAちゃんと別の病院に入院)。薬を買うお金も出しづらい?ところに私がちょうどやってきたので自分のお金で買ってくれとの事のようでした。

・上記の合間に海老原領事と数回メール&電話。Aちゃんのお友達やご親族からわらわらメッセンジャー等に問い合わせがあり、できる範囲で返信。旅行保険加入済の旨も領事部に伝える。

・と思ったら部屋に年配女性乱入。誰だと思ったら掃除の方だったのだが、「掃除するからね~」とやおら点滴のついたAちゃんのベッドを動かしてバケツの水をざぶーんと床にばらまき、洗剤投入!!…いや、重症患者ここにいるやんけ!(私は関西人ではありませんが、驚きのあまり一瞬大阪弁になったということでご理解下さい…)。

・午後も進み、薬が効き始めたAちゃんが少し眠り始めたところで、お花を持った男性乱入。しかも菊!なぜ見舞いに菊?彼女は生きてますが…呆。。
「こんにちは」「あなたは誰?」「運転手のブラザーです。」「え?!」「この度はSorryでした。で、写真撮っていい?」とおもむろにカメラを構える男性。
「良いわけないでしょ~!!日本はエジプトと違って病人NO Photoよ!」「でも彼女の具合を伝えないと」「具合伝えるのに写真いらないでしょ。写真が後で必要でも病院が検査用の写真を持ってるから今撮る必要ないでしょ!」…そして追い返す。日本じゃ考えられないよ~。

・夜7時半くらいに病院退去…は良いのだが病院内真っ暗で入り組んでいて、外の通りに出るまでに30分くらい1人でさまよう。足場悪い(工事中の階段歩くとか)。。

結局初日は終日、2日目と3日目は午後Dr.Hassanの個人レッスンがあったのでお昼過ぎまで付き添い、3日目の夕方にAちゃんのお兄様が到着されたところで無事にお役御免となりました。
Aちゃんのお兄様に名前のアラビア語表記と病室番号を書いたメモを写真で送り、入る際にそれを見せて兄だと話すようにアドバイスしましたが、実際に病院到着時に不審者と怪しまれて結構大変でいらしたとのこと。テロの余韻も残る時期でしたので、どうしても男性の方が怪しまれてしまうようです。

Aちゃんは幸いにも少しずつ回復し、3週間後に日本に帰国されました。
Aちゃんは様々な治療を経て、現在は無事にプロのベリーダンサーとしてご活躍です。
私は大したことはできなかったけれど、本当に良かった…。

海老原領事をはじめ当時の日本大使館皆様、Aちゃん治療に向けて動いて下さったすべての皆様、私の疲労を心配下さったHassan先生、故マーティンさん、ナスルさんに御礼申し上げます(Hassan先生に私の様子がおかしいと言われて、Aちゃんに付き添った旨を話しました)。

余談ですが、後に(数年後)ちょっと苦笑してしまったこと。
事故発生直後の一晩、当初Aちゃんのお師匠さんにはナイルグループ主催者の指示で有名男性ダンサーTさんが付き添ったと聞いていたのですが、実際にはTさんの指示でAhmed先生が一晩付き添っておられたそうです。私は2017年当時、Ahmed先生の存在を別の方から知り始めた位で、一切面識はありませんでした。こんなところでつながっていたとは…とAhmed先生と顔を見合わせて苦笑。

Aちゃんとご家族曰く、旅行保険で色々賄えたので本当に入っていてよかったとのことでした。
たまたま事故に遭ったのはAちゃんでしたが、私も含めてエジプト渡航者の誰しもが同様の事故に遭遇する可能性があります(Aちゃんの事故は彼女に一切の過失が無い事例でした)。

・旅行保険には必ず入りましょう。
・タクシーやガイド運転を頼む際には、速度出し過ぎないように注意して利用しましょう。
・パスポートはできるだけ、首掛けセキュリティポーチ等身体に身に着けておきましょう。
・渡航の前には外務省のアプリ「旅レジ」に登録しておきましょう(大使館領事部がパスポート番号とか身元を把握しやすくなる)
・Aちゃんのケースと異なりますが、道路を横断しないといけない際には(エジプトは信号が殆どない)、エジプト人男性が渡るタイミング等についてゆくと横断しやすいです。けして無理をしないように。横断を始めたら、途中で走ったり止まったりせず、一定の速さで歩いて横断しましょう。走ると車側に気づいてもらいにくいです。
・現地で私と同様に見舞いに行く際には、できるだけ多めにエジプトポンドを持っていきましょう。病院によってはドル支払い不可のところが結構あります。

旅にはリスクが伴います。私もいつ事故に遭うかわからないと毎回肝に銘じています。
しかし、旅に伴い得られるものもリスク以上に沢山あります。
皆様ができる範囲で備えつつ、充実したエジプト滞在をされることを心から願っております。

2日目の午後レッスンでHassan先生と。左は病室から撮影したナイル川。

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