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【エジプト渡航2024 その⑨オリエンタルダンスとフォークロアダンス、どちらが上?!】

エジプトの踊りは、オリエンタルダンス(ベリーダンス)も有名です。
私は民族舞踊(フォークロアダンス)を専門にしていますが、オリエンタルダンスも大好きです。
でも、この二つのダンスは踊り方も背景も全然違いますし、各々がとても奥深いものなので、私は両方しっかり学んで踊りこなすのは無理~と早々に白旗を上げました(笑)。

そんな私からすれば「オリエンタルダンスとフォークロアダンス、どちらが上?!」というのは愚問…というか「分かるわけないじゃん!」「比較しようがないでしょ!」と思うのですが、意外にもエジプト人のダンサー界隈でどちらが上か、云々…という話を耳にすることがあります。

民族舞踊の関係者(男性多め)からは、オリエンタルダンスはいくつかの動きを覚えればあとは適当に踊るだけでしょ、という話を結構聞きました。フォークロアダンスは色々な異なる種類を踊るし複数で合わせないといけないし生活文化も理解しないと、だからオリエンタルより難しいのだと。
一方で、オリエンタルダンサーで来日された方からは「オリエンタルの方が複雑で奥が深い、フォークロアは単調なリズムで普通にステップを踏めば踊れるでしょう?オリエンタルはレイヤーとか多様なテクニックもあるしリズム変化も複雑」という話を聞いたことがあります。

…正直、私からすればどちらも真実だなと思います。
というのも、オリエンタルにしてもフォークロアにしてもダンサーさんの質はさまざま。

現地のフォークロアダンスの女性ダンサーでトップレベルの方は、クラシックの基礎錬も積みオリエンタルも影で練習しています。複数の踊りを見事に踊り分けます。一方で女性ダンサーの数が足りない(特に地方)ことから、ちょっと仕事の合間に練習した程度で舞台に立てるケースもあります(フォークロアが基本群舞なので、こうしたダンサーレベルのばらつきがあってもフォーメーション等の工夫で何とかカバーできることも多いです)。
片や現地のオリエンタルダンスのダンサーと言えば、トップレベルの方は常にレイヤーの技術を磨き(レイヤーだけではなくてテクニック全般)独創的な表現や絶妙な音の取り方をします。その踊りを拝見すると、本当に生きた身体を駆使した芸術だな~と感動します。一方で、バストと骨盤を揺らして男性にPRするだけじゃないの?というダンサーさんも、まあいます。

どのダンスにしてもどのアートにしても同じですが、個人差があるということですね。
個人的には比較しないで別の踊りってことで良いじゃない、と思っていますが…。

では、なぜこのような比較論が出てきてしまうか。
そこにはエジプトの社会背景が大きく影響しています。
ムスリムの方が大多数を占めるエジプトの文化は、芸能を職とすることについて日本と違う目(保守的)があります。実は音楽も踊りも大好きな人が多いのに、職にするとなると…更に露出の多い仕事だと…それだけで、中身を見ないで先入観で下のように見られてしまうこともあります(アートとして認めて欲しいという気持ちがオリエンタルダンサーさんの中にあるのかな、と感じることがあります)。
一方で、オリエンタルダンサーは(全員ではありませんがある程度売れる方は)一般人より段違いに収入が多いです。フォークロアダンサーは全般的に薄給の場合が多く、エジプト社会全体も日本以上に収入の差が激しいですから、そうした現況について複雑な思いを持つ方々も少なからずいます(例えばトップダンサーのオリエンタルダンスショーを、エジプトの一般的収入の方は一生観る機会がないと思います。)

人の価値観は、その人の育ってきた社会的背景や環境にも大きく左右されます。
日本で育ってきた私にはエジプトの方々の価値観をそのまま取り入れることは難しいです。でも、社会背景を認識することで、優劣という観点はさておき、それぞれの良さや違いをより明確に感じることができるのではないかと改めて思った次第です。

ここは日本ですから、異なる両方のダンスを学ぶのも問題なくできます。一方に専念するメリットも当然あります。ご自身が学びたい、踊りたいという気持ちを大切に、踊りを通じて感じる日々の様々なことを大事にしてくださいね!

2017年、オリエンタルをまだ習っていたころに参加したハフラショーで。右はタンゴダンサーとしてもご活躍中のイライダさん。
こちらは2016年、最後に応募したコンペ、ナイルジャパンの本選控室にて。左側が同じくイライダさん、中央が私です。仲間がいなくてイライダさんとShihoさんに頼み込んだ当時が懐かしい…その節は本当に有難うございました。
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